リーチで外れると「次こそ」と思うのはなぜ?ニアミスの研究
絵柄があと一つ揃えば当たりだった。結果は外れなのに、「惜しかったから、もう一回」と思う。
このように、当たりに近く見える外れは「ニアミス」と呼ばれる。お金が戻らない点ではほかの外れと同じでも、受け止め方まで同じになるとは限らない。

楽しいから続けたい、とは限らない
2009年の研究では、簡略化したスロット課題で、当たり、ニアミス、当たりから遠い外れへの反応を比較した。参加者は、ニアミスを通常の外れより不快と評価した一方、自分で賭ける絵柄を選んだ条件では、より「続けたい」と答えた。Clarkらの論文
不快さと、続けたい気持ちは両立しうる。この点は、「楽しくないなら、なぜやめないのか」という疑問を考える手がかりになる。ただし、この結果は実験課題の条件つきのものだ。すべてのリーチ外れで、誰にでも同じ反応が起こると確認したわけではない。
脳の画像からわかる範囲
同じ研究の脳画像では、ニアミス時に、金銭的な当たりでも反応する線条体や島皮質などの活動が観察された。
ここから「脳は外れを勝ちと勘違いしている」と言い切ると、説明が行きすぎる。参加者が外れを認識していなかったわけではないし、脳の一部に重なる反応があっても、当たりと外れが同じ経験になったことにはならない。
また、この研究だけで、日本のパチンコ・パチスロ全機種の設計意図や、個人の依存症の程度を説明することもできない。リーチで緊張すること自体が、診断の基準になるわけではない。
「惜しい」と「次は当たりやすい」を分ける
練習中のスポーツなら、わずかな失敗が上達の手がかりになることはある。けれども、偶然で決まる抽選では、見た目が当たりに近かったことを、そのまま次の成功の根拠にはできない。
「あと一つだった」という感覚と、実際に当たる確率は別の話だ。機種ごとの状態やルールの確認とは区別して、惜しかったという印象だけで追加のお金を使おうとしていないかを見たい。
外れた後の自分の行動を覚えておく
この話を読んだ後、台の前で反応を試す必要はない。過去を振り返って、やめる予定が変わった場面を探してみる。
たとえば「帰るつもりだったが、リーチ外れの後にATMへ行った」なら、次の対策は興奮を完全に消すことより、追加のお金に手が届く経路を減らすことかもしれない。店舗や投票サービスの利用制限、入金手段の見直しなどをギャンブルをやめるための準備で紹介している。
「惜しい結果が出ると帰れない」と、そのまま相談で伝えてもよい。脳の用語を使って説明できなくても、いつ予定を変えてしまうのかがわかれば、支援者と対応を考える材料になる。
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