終了した挑戦の中央値は4日。QuitMateのリセット記録を読む
QuitMateに2026年6月12日までに記録された挑戦31,650件のうち、リセットで終了したものは22,920件あった。その終了した挑戦だけを並べると、継続日数の中央値は4日だった。
これは「始めた人の半分が4日以内に再発した」という数字ではない。続いている挑戦や、記録が止まってその後がわからない人を、どう扱うかで答えは変わる。
集計に含まれる記録を確かめる
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 記録された挑戦 | 31,650件 |
| うちリセットで終了した挑戦 | 22,920件 |
| 終了した挑戦の継続日数の中央値 | 4日 |
中央値は、すでに終了した挑戦の長さから計算している。同じ人が複数回挑戦していれば、それぞれ一件として含まれる。人数でも、個人の治療成績でもない。
短い挑戦が多いことから、開始直後の過ごし方に支援の余地があると考えることはできる。一方、この集計はアプリに記録された内容に基づくもので、自己申告の正確さまで確認したものではない。
再発の研究と並べるときの注意
Huntらの1971年の報告や、その後の再発曲線の研究は、治療後や禁煙開始後の経過を扱っている。アプリのリセットには、治療を受けているか、何をもってリセットしたかなど、同じ条件で測れていない部分がある。
特に、終了した記録だけの分布と、継続中の人を含めた生存分析は異なる。前者から「今日を越えるほど、明日は必ず安全になる」という個人の予測は出せない。
投稿の変化も、観察の仕方で読み方が変わる
終了した挑戦に関連する投稿では、リセットに近い日に、気分の推定値が低く、渇望の推定値が高い傾向があった。気分と渇望はAIが文章から推定したスコアで、本人が回答した臨床尺度ではない。
つらいときほど投稿する可能性や、日数ごとに投稿する人の違いもある。したがって、この関連だけで個人の再発を予測できるとは言えない。相談のきっかけを考えるための観察結果として扱いたい。
リセットのあとにも記録がある
初回の挑戦が7〜89日で終了した1,026人に限ると、83.8%は、リセットの翌々日から30日以内に再びアプリを利用していた。これは再利用の割合であり、その後に飲酒や賭けをやめられた割合ではない。
一回の挑戦が終わっても、その人の記録全体がそこで終わるとは限らない。支援を考えるなら、長い日数を達成した人だけでなく、戻ってきたときに何を話せるか、何を変えられるかにも目を向けたい。
個人の振り返りには、行動の前後を整理する方法がある。集計の読み方はデータと科学的背景でも説明している。
データ: QuitMateアプリの記録(2026年6月12日時点、挑戦31,650件・うちリセットで終了22,920件)に基づく。中央値4日は終了した挑戦のみの値。気分・渇望はアプリがAIで投稿から推定したスコア(気分1〜10、渇望0〜10)で、リセットの15〜30日前の平均は気分4.95・渇望5.35、当日は気分3.66・渇望6.10。83.8%は初回の挑戦が7〜89日で終了した1,026人のうち、リセットの翌々日から30日以内にアプリ利用があった割合。いずれも観察データであり、アプリ利用の効果(因果)を示すものではない。集計方法の詳細はデータと科学的背景へ。
参考文献
- Hunt WA, Barnett LW, Branch LG. Relapse rates in addiction programs. Journal of Clinical Psychology 1971;27(4):455-456.
- Kirshenbaum AP, Olsen DM, Bickel WK. A quantitative review of the ubiquitous relapse curve. Journal of Substance Abuse Treatment 2009;36(1):8-17.
- Hughes JR, Keely J, Naud S. Shape of the relapse curve and long-term abstinence among untreated smokers. Addiction 2004;99(1):29-38.
- Serre F, Fatseas M, Swendsen J, Auriacombe M. Ecological momentary assessment in the investigation of craving and substance use in daily life: a systematic review. Drug and Alcohol Dependence 2015;148:1-20.
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