依存症は人生を灰色に変える

酒をやめて180日目の人が、買うものが変わったと書いていた。
酒をやめて半年。前はジャンクと菓子パンばかり買ってた。今は桃や林檎、さくらんぼを買う。桃は缶酒3本と同じ値段だ。毎日生の桃を食べても、前より安くついてる。
QuitMateに残っている投稿だ。缶酒と桃を同じ値段で比べているところに、その人の暮らしが見える。お酒の代わりの楽しみは、特別な趣味というより、買い物の中に見つかったのかもしれない。
ただ、やめた直後からこう感じられるとは限らない。飲むことや賭けることをやめて、何をして過ごせばいいかわからなくなることもある。
楽しみが少なくなることと、脳の研究
薬物依存の研究では、報酬や動機づけに関わる脳の変化が調べられている。NIDAの解説も、薬物以外の活動から楽しみを得にくくなる場合を説明している。
だからといって、「何も楽しくない」という一人の症状を、ドーパミン受容体の数だけで説明することはできない。飲酒、ギャンブル、摂食の問題を、すべて同じ変化として扱うことにも無理がある。
好きだったことができなくなる背景には、寝不足や疲れ、孤独、気分の病気などが重なる場合もある。数週間待てば必ず戻るという期限を置くより、いつから何がつらいのかを見ていきたい。
自分の性格だと思っていたこと
過食嘔吐をやめて87日目の人は、以前の自分について、怠け者で一発逆転ばかり狙うタイプだと思っていた、と振り返っていた。食事が変わってから、疲れや焦りが行動に影響していたのではないかと考え直している。
以前できなかったことを、すぐに性格のせいにしなくてもよい。日常のどこに時間や気力を使っていたかが変わると、自分への見方も変わることがある。
一方で、「食事を整えれば性格も戻る」といった話ではない。摂食の問題で困っている場合は、症状や栄養状態も含めて専門家と相談する必要がある。
楽しまなければ、と焦らないために
やめた時間を有意義に使おうと、予定を増やしすぎると疲れてしまう。まず、食事や休息の時間を確保し、そのうえで負担の少ないことを試してみる。散歩が退屈なら、今日は買い物だけでもよい。
記録するときも、「楽しかったか」だけを採点しなくてよい。外に出られた、少し食べられた、誰かと話せた。そういう出来事を残しておくと、調子の違う日に読み返せる。
何も楽しめない状態が続いたり、食事や仕事に支障が出たりしているときは、それ自体を相談してほしい。刺激を全部減らしてひたすら待つことが、回復を早めると決まっているわけではない。
59日目の別の記録には、「ハイテンションじゃなく、落ち着いていて、なんとなく幸せ」とあった。桃を買った人と同じ経験ではないが、こうした感覚も、日々の記録に残っている。
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