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なぜ依存症になるのか?脳の学習と、生活環境から考える

脳と心の科学 Read in English

体調を崩した、支払いが苦しい、家族と約束した。それでも飲酒や賭けを繰り返してしまうと、「これほど困っているのに、どうして」と思う。

依存症は、その疑問を本人の性格だけで片づけられない状態だ。学習や意欲、判断に関わる脳の働きに加えて、身体の状態、利用できる環境、人間関係などを含めて考える必要がある。

経験と、そのときの状況を学習する

ある行動の後に心地よさや一時的な安堵があると、その行動を繰り返すきっかけになる。場所や時間なども結びつけば、店の前を通ったときや、いつもの時間になったときに欲求が出ることがある。

ドーパミンは、このような報酬に関わる学習や動機づけに関係する。「快感物質」という一言では足りないが、「期待だけを生む物質」と言い換えても働きを狭めすぎる。NIDAの解説資料

脳の働きをイメージした図

日常の学習にも関わる仕組みなので、ドーパミンが出ること自体が病気なのではない。「看板を見た瞬間に、誰の脳でも同じ量が出て、行動が決まる」というものでもない。

判断や自己制御にも関わる

依存症の研究では、報酬に反応する領域だけでなく、判断や自己制御に関係する脳の領域も調べられている。薬物による変化は、生活上の不利益があっても使用を続けることを理解する手がかりになる。

ただ、脳画像の群間の違いから、目の前の人の「ブレーキが壊れている」と診断することはできない。アルコールやほかの薬物、ギャンブルでは、重なる面も異なる面もある。薬物の研究結果を、そのまま賭けや性行動に当てはめないことも大切だ。

ギャンブルに絞った説明は、やめにくくなる状況と行動で扱っている。

同じ環境でも、同じ経過にはならない

生まれ持った特徴、成長の過程、ストレス、家庭や地域の状況、薬物などに触れる機会。こうした要因が重なって、依存症のリスクに関わる。一つの要因だけで、なる人・ならない人を決められるわけではない。NIHの依存症解説

家族に依存症の人がいることは、自分の将来が決まっているという意味ではない。逆に、家庭や仕事が安定しているから問題は起こらない、とも言えない。

つらさを和らげるために使い始めた人もいるだろう。ただし、全員に隠れたトラウマがあると推測する必要はない。自己治療仮説は、その人が行動に何を求めていたかを考える一つの見方だ。

やめた後の不調を、すべて同じに扱わない

酒や薬物をやめた後には、種類や使用状況によって離脱症状が出ることがある。特にアルコールでは重い離脱が危険な場合もあり、依存が疑われる人は自己判断で急に断つ前に医療機関へ相談したい。アルコール離脱についてのNHSの案内

一方で、退屈、不眠、気分の落ち込みなどには複数の原因がありうる。「脳が戻っている証拠だから待てばよい」と一括りにはできない。困る程度の不調が続くなら、やめた日数と症状を伝えて相談する。

仕組みを知った後にできること

脳の変化を自分で測れなくても、生活で変えられる部分はある。飲みたくなる帰り道を変える、投票の利用停止を申し込む、眠れないことを受診で話す。一つずつ、具体的な状況に対応を考えていける。

振り返るときは「自分はなぜこんな人間なのか」より、「その日は何があり、どこで予定が変わったか」を書くほうが相談の材料になる。短い記録の付け方も参考にしてほしい。

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